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昨日巻いた連句をアップします。
帽子をかぶった大先輩の詩人がご縁で参加してくださいました。連句の座なので別名で、本名はないしょです!
フェリスの「ほしのたね」の学生さんから、いろいろな年代の人がいたので、バリエーションに富んだ一巻になりました。
「北へ向かう」から恋の座、「伯父の魂」までの流れがすばらしく、花の座も名句で、なかなかの傑作ではないか、と思っております。
困ってしまったのは、時事句のニホンカワウソ。はじめは「カワウソとツキノワグマが絶滅に」としていたのですが、ツキノワグマは「月」か、だとするとクマは冬だから、冬の月なのか、裏の月が冬の月なのはよしとして、表の月も一句あげて短句としているので、裏を二句あげてツキノワグマですませてしまうのも惜しかったので、クマをはずし、ニホンカワウソだけにすることに。その場では「さようならニホンカワウソ永遠に」としましたが、あまりにひどい(笑)ので、下に揚げた幻想の句に変更しました。
■半歌仙「詩人の帽子」 捌き ほしおさなえ
秋風に揺られ見知らぬ街に立つ 嘉子
詩人の帽子に爆ぜた草の実 さなえ
くたびれた季寄せの箱は冷ややかに ゆほ
役所の屋根に月触れる時 々
北へ向かう思いを捨てて道渡る 千秋
父の目尻に滲むやさしさ やん
「あいつにはやらん」ってわたしモノじゃない 々
粒だっていく柔らかき肌 嘉
三面鏡に拝む女の厄落とし 千
伯父の魂(みたま)が鳴らす風鈴 ゆ
まぼろしのニホンカワウソ暮らす場所 さ
葱白くなるところから切る ゆ
最寄り駅より徒歩二分冬の月 々
貝塚の上童(わらわ)遊べり 千
盃に満たされている清き水 嘉
流氷に乗り小びと旅する や
花咲くはこれから生きて向かう場所 ゆ
一族そろい凧あげている さ
2012年8月29日於大田文化の森
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