重なるように

実家は私鉄の駅からバスで10分の住宅地にあるのだが、この住宅地、便利とはいえない土地のせいか、今では住んでいるのは老人ばかりなのだった。新興住宅地だったから、わたしが子どものころには同じくらいの子どもがたくさんいたのに。訪ねて行くと、いろんなことを思い出す。父の書斎の屋根にのぼったこととか、庭で蝶をつかまえたこととか。いつもは忘れているむかしのことが今の風景と重なるようによみがえる。